2010年1月アーカイブ

歯医者と「勉強」

私たち専門職である「歯科医師」は大学を卒業して「歯科医師国家試験」に合格すると晴れて、「歯科医師」を名乗る事が出来ます。国の法律です。

 

では、歯科医師の国家資格を手にした後はどうなるのか・?、・・・という問題が残ります。

実はこの部分については現在のところ何の「取り決め」もないのです。

要するに、一度「歯科医師国家試験」に合格してライセンスを手にすると、ソレは一生涯につき

「有効」。

これはお医者さんの世界でも同じのようです。

国家試験に合格した歯医者さん、お医者さんならばそれで「安心」・・と受け止めてもらえるほど今の世の中は甘くはないでしょう・・多分。

 

近年、歯科の分野でもそうですが、医学の分野は本当に「日進月歩」かな、と思います。

ちなみにアメリカ合衆国の歯科の先生は一年間に大体、140~150時間程度の「卒後研修」の時間を工面しているというハナシがあります。 しかしこれはひと月になおすと月に12時間以上の勉強の時間を作っている、と言う事にんるのですが、果たして今の日本の一般的な歯医者さんではどうでしょうか。

 

パール歯科医院、院長のわたしの場合は昨年一年間の研修時間はおおよそ26日、時間にして150時間をゆうに超えます。

けど、・・これはホンマに大変ですわ。

ここまではムリでも、せめて年に何回かは学会や研修会で最新の歯科医療知識なり情報なりをリフレッシュして頂きたいと考えてしまいます。

一般的な歯科医療の現場での水準は・・あまりにも「お粗末」過ぎます。・・と、そう思います。

 

 

歯科治療とマイクロスコープ

 最近テレビや週刊誌などでも時々、取り上げられるようになってきましたので歯医者での「マイクロスコープ」というものも少しずつ、皆さまに知られるようになってきた感じです。

 

マイクロスコープ、とは「手術用顕微鏡」のことで、細胞や人体組織などを観察する「生物顕微鏡」ではなく、「実体顕微鏡」と呼ばれるもののことです。

一般のお医者さんの世界では脳神経外科や眼科などを中心にもうかれこれ4,50年前から使われているのではないかと思いますが、私たちの「歯科」の分野ではまだまだ、全然馴染みのない「器械」なのですね。

さて、パール歯科医院ではその必要性を感じて今から4年前に導入いたしましたが、本格的に日本に紹介されて未だ、10年経つかたたないか・・というのが実態です。

顕微鏡を覗きながらの歯科治療、というものはそれはそれは、大変な難しさがあるのですが一旦その「味」をしめると、無くてはならないものすごく大切な役に立つ「道具」になります。手放せなくなります。

で、何が難しいかというと、本来私たち歯医者は治療を行なう時自分の目で見えるように、身体を傾けたり、首をひねったりして直したい部分を「覗き込む」習性があるのですが、マイクロスコープを使った治療ではその手は使えません。

「マイクロ」の場合全て・・というか、ほとんどの治療ではデンタルミラーという小さな「鏡」に写った「反射像」を見ながらの治療、処置となるのです。

その代わり、とても明るくて大きく拡大された術野(治療部位)を見ることが出来るのでソレはそれは、ものすごく快適であるわけでありまして、この安心感は何物にも変えがたいのですよ。

しかし、・・・この快適な画像はミラーに反射されて映ってきているので、治療をするさいの手の動きはすべて「逆」になります・・・。

コレ、どうするか・・・練習と慣れ、しかないですよね。

従いまして、このもの凄いマイクロスコープを買ってもその日からすぐに「役に立つ」という簡単な代物ではないわけで、人によっては1年くらいの練習期間では使い物にならないかも知れません。

そしてマイクロスコープを使った「超・精密な治療」になればなるほど、時間もかかってしまいますので、使いこなすのが難しい上に、買うための金は掛かるは時間はかかるは、儲けも出ないわ・・では今の日本の歯医者さんがよろこんで手に入れようとは思わないかも知れない・・ってのも事実です。

ですが、わたしの実感としては本当に歯科医師が手先の細かな精密治療のプロだ、とそう言いたいのであればマイクロスコープを使わない治療なんて有り得ないです。

歯科の分野で、人間の「目」だけで行なえる治療なんてたかが知れています。

そして今の日本の患者さんも、その「たかが知れた」治療の恩恵??にあずかって数年ごとに治療のやり直しを経験され、・・・こんなもんかな?、と妙に納得されているのが現状であるのかな、と妙に納得しているパール歯科医院のわたくし、でございます。

わたしはマイクロスコープを使った歯科診療の出来る事を「誇り」に思い、またもの凄く「感謝」しています。・・・リース代、後もうちょっと(笑)

 

 

 

 

 

 

インプラントの「使い廻し」報道

先日の新聞などで、愛知県の某・歯科医院で一度手術に使用して上手くいかず、抜けてしまった「インプラント」を別の患者にいわゆる、「使い廻し」をしていた・・というニュースが出ていました。

ちょっと調べてみたらその歯科医院はかなりインプラント治療の症例も多く、それなりの実績も上げているようにも思えたのですが、反面いろいろな問題点もあったようです。

ここで、そんな「推測」の部分はさておいて、一度ダメになってしまったインプラントを滅菌などしてまた「再利用」する・・ということが出来るのか、可能なのかと・・という事を考えて??みると・・・。

 

コレはどう考えても、とてもではないが「無理」です。

本人は「滅菌」なり「消毒」なりをしたつもりかも知れませんが、一旦生体に埋め込まれたインプラント本体には様々な「「変化」が生じていて、通常の歯科医院レベルの滅菌処置では新品の状態にはとうてい戻せません。

・・・と、言うよりこれは「倫理観」の問題ですよね。

そんなもん、使ってはイケない・・のです。

 

でもね、これって以前にもあった「耐震偽造」や「なんとかホープ」の牛肉偽装事件にもつながっていく問題なのかな、とも感じてしまいます。

これらの事例の根底にあるのは「コスト削減」・・の意識ですよね?

けど、少なくとも私たちの医療ではコストの削減の前に考えねばならないことは一杯あります。

 

わたしはその部分について、姿にもカタチにも見えてはこないけど、歯科医師としての「プライドとこだわり」、このことをもの凄く意識しています。

こういう意味あいにおいて、件(くだん)の愛知の某センセイは、歯科医師にしか許されていない医療行為についてなんのプライドもこだわりも持ち合わせてはいなかった、と言うことでしょうか。

残念なことです。

 

 

 

リフォーム顛末記

 やれやれ・・、と言う感じで年末来の「診療室リフォーム計画」なんとか終了いたしました。

9日かけて、まだ最終日は夜中の3時頃までかかってしまったのではないかと・・。

私も連日立ち会っていましたので、ずいぶんと疲れましたがなんとか本日初日の診療も無事に終える事が出来てホッとしております。

リフォーム、と言うのは「新築工事」とは違って、やり始めてからいろいろな「問題」が出てくるので事前に100%の計算が立たないところが難しいですね。

でもお正月にもかかわらず、連日一生懸命に仕事を進めてくれた監督さんや何人もの「職人さん」さん達の姿から真摯なプロ根性を学びました。

自分も常にそうあらねば・・と感じ入った次第です。皆さまどうもありがとうございました。

診療室リフォーム

1月7日からの診療スタートに向けて、目下診療室リフォーム工事中です。

年末28日からお正月三が日を挟み、5日の「期限」に合わせ大工さんを初め皆さんにご苦労頂いております。本当に「感謝」です。

実は今回は、今まで「3台」設置しておりました診療用チェアを思い切って「2台」に減らそう・・、と。

そうしてスペースを拡張して、「インプラント手術」に利用できる空間を充実させましょう、という目的で設計を致しました。

このことにあたって、いろいろなご意見アドヴァイスのなかで、やはり「2台」では困るだろう、とか衛生士の先生も診療にあたるから実質1台のチェアでは困るだろう・・とか、いろいろあったのですが、もともとのスペースが限られているのですから後は「割り切る」しか方法がありません。

当院は名前こそ大げさですが、非常に「こじんまり」とした「小規模診療所」なのです。

さらに近年では診療の内容も、歯内療法・歯周病治療・インプラント治療・・というような専門性の高いものへとシフトしていっている関係上、数多くの患者様の診療に対応することが非常に困難になってきています(予約、取れなくてすいません)。

幸いな事に、昨今街の歯科医院の数も非常に増えてきている事から、昔のように一軒の歯科医院で一人の歯科医師が全ての歯科疾患に対応すべく、一日に何十人もの患者様の診察を行なう必要性も薄れてきました。

現在当院では、一日に約20名前後の患者様の診療をお受け致しておりますが、この内約5名様ほどは歯科衛生士の受け持ちとなりますので、わたくしの患者様は15名様ほどです。

もともと、量より「質」と言う立場を取っていたわたくしには、これでも結構しんどいのですが、どこからともなく「しっかり働け!」という声も聞こえてまいりますので、この体制で精一杯がんばってみたいと思います。

・・というわけで、明日も「現場立会い」・・です。。

 

 

 

 明けましておめでとうございます

皆さま、新年明けましておめでとうございます。

本年もどうかよろしくお願致します。

記録に間違いがなければ、奈良地方7年連続「快晴」の穏やかな元日となりました。

気持ちの良い新たな一年のスタートです。

今年も精一杯頑張って参ります。どうかよろしく!

パール歯科医院
パール歯科医院