歯科医療の「値段と質」・・そしてその後に、

一般的にはあまり(・・・と言うか「わざと」と言うか?)話題にはならないのでご存知ない方の方が多いかも知れませんが、日本での「歯科医療費のコスト」は先進国中の平均水準の約、「10分の1」です。

他の先進国での値段と比べると、そのわずか1割の価格で日常の「保険診療」が行なわれています。

以前のWHOの調査ではそんな「経済実態」であるにもかかわらず、なんと!日本の歯科医療の質は世界でも「トップクラス」である!と報告されています。

 

・・・これはどう言うこっちゃ!?

・・って、何のことはない、日本の歯医者が必死になって「国民のため」に歯科技工士さんをコキ使い値切り倒し、安い給料でスタッフを泣かせ、出入りの歯科業者さんをいじめて・・「経費」を節約し続けてきた挙句のことです。

 

けど、もうさすがに21世紀を迎えて「この手」も通用しなくなって来てます。

 

日本の世の中はずっと以前から「民主主義・自由主義経済」の社会です。

そんな中で「保険医療費」だけがその発足当時から「社会主義国」化されていて、国家の統制を受け続けています。

これは一つの「制度」なので当たり前、なのかも知れませんが、そこには「現場」の意向はほとんど、全く反映されてはおりません。全ては政府の「都合」により定められています。

何十年もの間、日本の歯科医師はなんの疑問も抱かずにソレに従ってきたようですがこと、ここに至ってどうやら立ち行かなくなってきたようです。

 

そりゃぁ、そうだわな。

昔なら保険診療を「薄利多売」とばかりに数をこなせば帳尻が合って「お釣り」が来ていたかも知れんけども、今はもうそう言う時代ではない。

 

ほぼ100%、全国民である「患者」は可能な限り「安い」経費で、十分に安心・安全な医療を望んでいることと思います。

しかし、現実には歯科医療を取り巻く様々な環境の中でモノや材料は「値上がり」し、新しい設備も取り入れられず、収入の減少で喘いでいる歯科医院が相当数あります。

 挙句、週刊「東洋経済」誌には歯科医師の五分の一は年収200万だか、300万以下・・だとか書かれる始末です

かくして今、何が起こっているか?

過去には考えられなかった著しい「歯科」の人気の凋落です。

将来、歯科医師をめざして歯学部を受験しようとする若い人たちが居なくなってしまっているのです。

すでにいくつかの歯学部は「定員割れ」を起こしているようです。

 

今はまだいいでしょう。

けど、このままだと30年、50年先の近い将来、現在とはまったく逆の「需給関係」のねじれ、が生じてくるだろうとワタシは懸念しています。

そしてその時、本当に困り果てるのは患者となるであろう将来の「日本国民」。

これはもうすぐ結婚して、自分達が育て上げた子供達が社会に出て活躍をし始める時期の事だよ。

 

この、今のままの「安い歯科医療」を受け続ける事が本当に国民の幸せに繋がっていくんやろか?

まぁ、幸いわたしはその頃には、もう居ませんが。

 

 

 

 

パール歯科医院
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