2010年5月アーカイブ

α(アルファ)TCP

先日のインプラント手術で新しい、「αTCP」という骨代用補填材を使ってみました。

日本のB社様からご提供頂いたのですが、なるほど使い勝手はとても良かったです。

 

これはインプラントの手術を行なう際に、患者さんの「骨の量」が少ない時に利用する生体材料なのですが、「TCP」というものは工業的に作製された材料で、他にはもちろん患者さんご自身の「骨」や異種骨として「牛」さんの骨、場合によっては他家骨・・と言ってヒトの死体から採取した骨を精製加工したものなども使われているんです。

 

私たち臨床医の間では「β(ベータ)TCP」と言うものが有名で日常的に良く利用されているのですけれど、今回の「アルファ・TCP」は「ベータ・TCP」と比較して、骨を作り出す能力(時間)は半分程度の期間で可能という優れもの(・・のハズ)なんです。

 

一般的にはベータTCPは骨を作りたい部位に補填して、大体、4~5ヶ月くらいの期間がたたないと、材料自体が骨と置換(置き換わる事)しないと言われているのですけれど、新しい「アルファTCP]ではなんと2ヶ月で骨と置き換わる・・・らしい。。

もし、本当にそうであればコレは喜ばしい事です。

 

ところがこの材料、現在米国のFDA(日本の厚労省のようなところ・・審査は非常にキビシイ!)での認可を待っている状態らしいのですが、東京医科歯科大学での研究では非常に良い結果が出ているらしいです。

どのみち、日本では厚労省は認可しないでしょうから本格的な海外での流通待ち、・・ということになるのでしょうが、・・せっかく良い技術があるのに残念な事ですにゃ。

・・わずか、「700円」

直近の資料では日本国民に対しての「総医療費」のうちで、私たちの「歯科医療」に割り当てられている比率は全体枠のうちのわずか、7%ちょっと・・というデータがあります。

 

これはどう言う事かと言うと、国民の皆様が「健康保険料」を例えば1万円、国に納めた・・とすると、歯科の健康保険治療に割り当てられている「経費=費用」はそのうちのたった「700円」程度、と言う事です。

 

誰しも「保険料」を納めているのだから、どんな病気で病院に行っても、歯科医院に行っても「平等」に保険制度が適応されているはずだ・・とつい、考えてしまうしそのように思いたいですよね。

 

ところが実際は・・一般「医科」の保険のまかないに・・・「9300円」

・・・・・・・・・・・・・・・・  「歯科」への充当分は「700円」、と言う事になってしまってます。

このわずか700円、と言うか「7%」の予算で皆さんの「入れ歯・銀歯・差し歯・・抜歯、神経の治療・・歯周病の治療・・」など様々なことを政府からやらされているのが今の歯科医師たちの現状です。

 

実際に「歯科医学」は近年、どんどんと進化しています。 けれどそのような新しい技術や理論は全く今の「健康保険制度」には取り入れられてはおりません。

結果的に、一般的な国民は保険料を支払っているにもかかわらず、「昭和時代中ごろの治療水準」の歯科治療を「受けさせられて」いるのが現状です。

悲しいことに私たち歯科医も、いくら勉強してあたらしい知識や技術を研鑽しても、保険診療では「昭和の時代」のレベルでしか報酬を得られないので、勉強自体を諦めてしまった歯科の先生も沢山おられます。

 

これでいいのかなぁ・・?

わたしは自分が「患者」となった時にはこんなの絶対にイヤですので、毎日患者さんに「実情」をお話するように努めています。でも・・・、

 

いろんなハナシをしていると患者さんから「誤解」をうけて、この先生はホケンの治療をしてくれないのかな、と勘違いされる場面も少なくはありません。

そうではないのです、本当に患者さんの「利益」となる治療方法は保険診療以外のところにも一杯あるんですよ、・・ということをお伝えしたいだけなんです。

そういうことを知った上で、どのような治療を希望されるのかは全く持って患者さの「自由」なんです。

現在、こんな情報が患者さんサイドに十分に伝わっていない事・・を残念に思います。

 

 

 

上山博康 先生の話

昨日の日曜日、「上山博康」先生の講演を聴く機会があって、当院のスタッフ3名と大阪国際会議場まで行ってきました。

 

上山先生は日本を代表する「脳神経外科医」で、あの有名な福島先生と双璧をなす方です。

当日は、過去のTVで放映された映像を中心に脳神経外科医としての熱い想いを十二分に語って下さいました。

 

意外だったのは、この「脳神経外科」という科が今の日本では非常にマイナーで、この道を志す若い医師も稀であること。

一秒一刻を争う、緊急性の非常に高い診療科であるのに、なかなかその実態を他の「医師」らに理解してもらえないこと・・などを語っておられました。

 

とりわけ印象的だったのはもし万が一、脳神経外科での手術が失敗に終わってしまった時・・・。

「他の科での手術ならば力及ばず、最悪の場合となった時には患者さんがお亡くなりになられます。しかし、私の(脳外科での)手術では、万が一にも手術が不成功に終わってしまえば命を落とすどころか、もっと辛い「生き地獄」を押し付けてしまうことになるかも知れないのです。」

 

この言葉を聴いた時には背筋に「氷水」を浴びせかけられたような気がしました。

 

そんなシビアで残酷な手術にも全身全霊を賭して立ち向かわれる上山先生を見て畏怖の念を覚えると共に、・・・もしかしたら、この先生なら患者の命を助ける為には悪魔に魂を売る事も厭わないのでは、とそんなことを思ってしまったのです

いや、なるほど確かに、自ら覚悟してこの世界に足を踏み入れようとする若いドクターは本当に少ないかも知れません。

上山先生、福島先生には日本の至宝として人類のためにいつまでもお元気で頑張って頂きたい、と感じました。

 

 

「歯周病」を知らなくては・・

今、25歳以上の日本人全体のうち、その8割以上の国民が罹患していると言われている「歯周病」。

わたしも毎日の診療の中でこの事を強く実感しているのですが、・・・なんともその「事実」に無関心、と言うか、まるで意識がいっていないと言うか・・、あまりにも「歯周病」をなめてかかっているのではないか、と考えさせられる場面に出会う事が多いです。

 

この病気は「特別な類のもの」を除いては、キチンと治療の出来る歯科医院で、キチンと治療を受けて頂ければ、十分にコントロールの可能な疾患です。

 

けれど、病気に気が付いていなかったり・・また、気が付いていてもソレを「放置」してしまうと、とても厄介なことになります。

さきほど治療を受ければ「・・十分にコントロールが可能」と書きましたが何故、治療を受ければ「治る」と書けなかったのでしょうか?

 

 歯周病は本来の意味では「治らない」のです。

 歯周病は一旦罹患すると生体に対して常に、「破壊的・侵襲的」に病態が進行します。

 

つまり、自分の「歯周病」に気が付いて適切な処置、治療を受けてそれ以上の病気の進行を止める事が出来ても、この病気にかかる前の「正常で健康的な状態」には(原則として)戻すことは出来ないからです。

ではどう治るかと言うと、「異常で健康的な状態」・・として一応の「治癒」が得られます。

 

  ええ~~っ?? 結局ナンのことなんですかぁ~~?   (ーー;)

 

分かりやすく言うと、歯周病で痩せてしまった「歯肉」や、溶けてしまった「骨」は元のようには回復しませんよ~、と言うことなんですよ。

そしてこの事が治った後の見た目の良し悪し=「審美性」 や、歯の寿命=「噛み合せの安定性」などに影響してしまいます。

 

だからこそ、出来るだけ早期・・病気の初期の段階で手を打たなければなりません。

 

「歯周病菌」はもはや「歯」の廻りにだけ病気を惹き起こすのではなく、脳や心臓の血管障害による人命への関与、早産や流産のリスクも通常の7倍! 糖尿病との関連では歯周病が治らないと糖尿病も治らないといわれていますし、高齢者の嚥下性肺炎の原因菌ともされています。

最も新しい研究では、歯周病菌が作り出す「酪酸」がHIV(エイズウィルス)に作用してそれを「活性化」させ、エイズを発症させてしまう・・という論文を日本大学の口腔細菌学の教授が発表し、米国の医学雑誌に掲載されたそうです。

 

このように単純に「歯科」の範囲だけではなく、全身に様々な悪影響を及ぼす「歯周病」。

歯が抜けちゃっても「入れ歯」があるから別にいいヤァ~~、などという問題ではない事がお分かりかと思います。

 

そして現代の医学界、医療の現場でこの歯周病の治療を行うことが出来るのは、「歯科医師と歯科衛生士」・・だけなのです。

 

 

 

大神神社

 「おおみわじんじゃ」・・です(笑)。

 

この連休の間の一日、奈良県桜井市にある日本最古の神社、・・の一つ!と言われるこの「大神神社」に行ってきました!。

ここは大和の国、「一ノ宮」であります。

 

ご神体は、・・なんと「山」。そう、三輪山なのです。

というわけで参拝殿はあっても「本殿」・・は山なので・・・ずっと後ろの山デス。

祭られている神様は「大国主命」、うん・・あの有名な・・はい、出雲大社と同じですね。

なんで一緒か?という細かい事は言わない。 そうなっているのです。

 

恥ずかしながらはじめて訪れたのですが、さすがに得も言われぬオーラを感じます。 すごいです。気に入りました。

じつは「淡路島」にも日本最古と謳われる神社があるのですが、そちらもまた機会を作って訪ねてみたいです。

 

 

 

 

パール歯科医院
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